映像制作工房LACは、「映像制作スキル」を基軸に、障害当事者の方の新しい働き方を支援するプラットフォームです。就労支援事業所の皆さまと共に、利用者の方が動画編集スキルを身につけ、継続的に実践・案件経験を積める仕組みを提供しています。
私たちがLACに込めた思いは3つの意味に表れています。LAC = フランス語で「湖」として、静かに安心して表現をたたえる場所を目指し、LAC = Learning And Create として「学びながら創る」実践的なスキル習得の場を提供する。そして「工房」として、道具と環境が整っていて、誰もが手を動かせる場所を作りたいと考えています。
何より大切にしているのは、「学びっぱなし」にならない仕組みです。導入研修から学習、スキル認定、案件共有までを一貫して支援し、最終的な就労につなげることを目標としています。
LACでは、利用者の方にLAC-LMS(専用の学習管理システム)を通じて映像編集を段階的に学んでいただいています。各項目ごとに動画教材・演習課題・チェックリストが用意されており、チェックリストに対する達成度に応じて段階的にスキル認定を行います。
このシステムでは、従来からシルバーレベルとゴールドレベルという2つの段階を設けていました。シルバーレベルは基本的なスキルの習得を目標とし、ゴールドレベルはより高度な技術や実践力を求める内容として設計されています。
映像制作は、感覚過敏やこだわりといった特性が強みに変わりやすい分野ですが、単に技術だけでなく「伝える力」や「企画力」も求められます。LACでは、これらをバランスよく育成し、学習の次にある「働く」を見据えた支援を行っています。

今回の改修のきっかけは、ブロンズメンバーの方からいただいた貴重な指摘でした。
課題をこなすだけでは達成できない項目も含まれている
このようなご指摘をいただき、確かにその通りだと気づかされました。
シルバーとゴールドの概念は以前から存在していましたが、実際の課題をこなす中では証明しようがないチェックリスト項目が混在していたのです。これではブロンズメンバーの方が混乱してしまいますし、適切な評価もできません。
私たちは、現場で実際にシステムを使っていただいている方々の声を何より大切にしています。大がかりな新機能開発も重要ですが、日々の使いやすさを向上させる小さな改善こそが実際の学習体験を大きく左右するからです。
そこで今回、LMSのチェックリスト表示を改修し、「シルバー」と「ゴールド」の2つのレベルを明確に分離して表示できるようにしました。

基本的な流れとしては、一部の講座を除いて、まずシルバー認定の項目をチェックしていただき、それが達成できているかを確認した上で認定とフィードバックを行います。ゴールド認定については、シルバーを超えたさらに高い目標として設定していますので、より上を目指したい方はこちらも参考にしていただきます。
特に重要なのは、ゴールドについては「将来的にはこういうことをチェックされるんだな」程度に考えていただけるようになったことです。これにより、現在の課題に集中しながらも、将来の成長の方向性を意識していただけるようになりました。
いずれのレベルにおいても、原則として動画内で実演した内容を完成させて課題として提出していただくという方針は変わりません。
この実践的なアプローチこそが、LACの学習システムの核心部分だからです。
今回の改修は、技術的には大きなものではありません。しかし、学習者の方にとっての分かりやすさは格段に向上しました。何をいつまでに達成すべきかが明確になり、将来的な目標も見えるようになったためです。
この改修を通じて改めて感じるのは、現場の声に耳を傾け、迅速に対応することの重要性です。
映像制作スキルの習得は一朝一夕にはいきません。だからこそ、学習の過程で感じる小さな不便や疑問を一つずつ解決していくことが、継続的な学習と最終的な就労支援の成功につながるのです。
映像制作工房LACは、これからも利用者の方、支援員の方、そしてすべてのクリエイターの声を大切にしながらより良いサービスの提供を目指していきます。障害当事者の方の新しい働き方を支援するという私たちの使命を、日々の小さな改善の積み重ねで実現していきたいと考えています。
