合同会社RPは設立から3期となり、発達障害・精神障害のある方への支援に取り組んできました。その中で見えてきた課題の一つが、「スキルを学ぶ以前に、安心して自分を出せる場が必要」ということでした。
テーボラ(Tebora) は、そんな想いから生まれた「安心してゆるく話せるオンライン会議室」を提供するプラットフォームです。自助会や当事者向けのフリートークを、気軽に参加できる優しい設計で支援します。現在、2025年8月中の公開を目指して開発を進めています。
プロジェクトの出発点は、当事者の方々への聞き取り調査でした。
「オンラインで同じ悩みを持つ人と話したいけど、いきなり顔出しは抵抗がある」 「まずは聞くだけから参加したい」 「自助会に興味があるけど、どうやって見つけたらいいかわからない」
こうした声を聞くうちに、既存のオンライン会議ツールでは解決できない課題があることがわかってきました。技術的な使いやすさ以前に、心理的な安全性を確保する仕組みが必要だったのです。
理解を深めるため、実際にいくつかのオンライン自助会に参加させていただきました。
参加して驚いたのは、参加者のニーズの多様性でした。積極的に発言したい方もいれば、まずは聞き専で参加したい方、顔は出したくないけど音声では参加したい方など、参加スタイルは実に様々でした。
また、多くの自助会がZoomの無料プランを使っており、40分制限に悩まされていることも知りました。主催者の方は「途中で切れてしまうのは申し訳ないけど、有料プランは経済的に厳しい」と話されていました。
実態を把握した後、リアル開催の自助会運営についても知りたいと考え、会社として自助会の会場提供を始めました。
実際に運営支援をしてみると、主催者の方々が抱える負担の大きさが見えてきました。
技術的な設定・参加者管理・当日の進行など、本来の自助会運営に集中したいのに、
多くの周辺作業が発生していたのです。
もっと自助会の内容に集中できる環境を作れないだろうか
技術的なハードルを下げて、誰でも気軽に自助会を開催できるようにしたい
そんな想いが、システム開発への動機となりました。
当初は独自の通話アプリ開発を目指しました。
既存ツールの制約から解放された、自助会専用の通話システムを作ろう
と意気込んでいたのです。
しかし、現実は甘くありませんでした。音声品質、接続安定性、デバイス対応など、通話アプリには想像以上に多くの技術的課題があり、約2ヶ月間開発にハマり続けることになりました。
完璧なシステムを作るより、今困っている人を支援することが先決では?
この気づきが、大きな方向転換につながりました。
独自通話アプリ開発を一旦停止し、現実的な解決策を模索しました。そこで辿り着いたのが「事前予約制でZoom枠を会場として提供する」という仕組みでした。
なお、Zoomの利用規約を慎重に検討し、代表が実際の参加者として自助会に関わり、技術的サポートを提供するという形で運営しています。今後、より適切なソリューションへの移行も検討しながら、規約に完全に準拠した形でのサービス提供を目指しています。
この方式により、以下のメリットが実現できました:
- 主催者の負担軽減: 技術的な設定や会議室管理から解放
- 安定した環境: 40分制限のない、安定したZoom Pro環境
- 規約遵守: アカウント共有ではなく、正式な会場提供として運営
- サポート体制: 必要時には技術サポートも提供可能
「技術で全てを解決する」から「仕組みで現実的に支援する」への発想転換でした。
開発中のテーボラは、Zoom会議そのものを置き換えるのではなく、自助会開催を助ける周辺Webアプリとして設計しています。
事前申請、参加者管理、当日の進行支援など、主催者が本来の自助会運営に集中できるよう、周辺業務をシステム化して支援する予定です。
テーボラは2025年8月中の公開を目指して、現在急ピッチで開発を進めています。ユーザビリティを重視し、本当に必要な機能を厳選して実装していく方針です。
今後の開発ログでは、実際のシステム機能の紹介や開発過程で直面した技術的課題、ユーザーテストでいただいたフィードバックなどを詳しくお伝えしていく予定です。
「安心してゆるく話せる場」を技術で支援する挑戦は、まだ始まったばかりです。当事者の方々、支援者の方々と一緒に、より良いプラットフォームを作り上げていきたいと思います。
開発ログを通じて、テーボラの成長過程を共有していきますので、ぜひ応援をお願いします。
テーボラの最新情報は、今後の開発ログでお伝えしていきます。ご期待ください。