すべてを自前でやる必要はありません。支援員の時間を適切に配分し、プロの力を活用することで、事業所全体の支援の質が高まります。B型事業所で外部委託できる業務の範囲と、委託先を選ぶ際のポイント、コストの考え方をまとめました。特に、利用者さんの就労基礎動作の習得支援にプロの仕組みを活用することで、支援員は個別対応に集中でき、事業所全体の成果につながります。

映像制作工房LACとは

映像制作工房LACは、就労継続支援事業所様向けに、動画編集の学習カリキュラムを提供するサービスです。自社開発の学習管理システム上で利用者さまが動画講座の視聴や課題提出を進め、専門のサポーターがDiscordのテキストチャットで質問や相談に対応します。

ただし、目的は「動画編集ができる人」を育てることではありません。映像制作スキルの習得過程を通じて就労基礎動作を身につけ、就職につなげることが主な目的です。就職を目指さない方でも、事業所内で安定して活動できる人材になることを目指しています。

就労基礎動作とは、映像制作工房LACが定義する「働ける人」になるための5つの力です。自己管理、指示や指摘を受け取る力、報告・相談・質問する力、やり切る力、振る舞いを選択する力。これらは映像制作に限らず、どの職場でも求められる基本的な行動パターンです。

B型市場の急速な拡大と「質」による選別の時代へ

就労継続支援B型の市場は拡大を続けています。全国の就労系障害福祉サービスの中でB型は圧倒的な規模で、事業所数19,572カ所、利用者数411,021人です。1年間で約1,500件の事業所が新規開設される急増状況が続いています。

しかし同時に、制度の厳格化が進んでいます。厚生労働省が2026年11月に発出したガイドラインでは、新規指定時に「利用者の就労の知識及び能力を向上させる支援内容となっているか」を明確に審査する方針が示されました。「安易な事業参入」や「高収益が実現できる」という謳い文句での開設を厳しく問題視しており、単純作業で工賃を補填するだけの運営では指定が得られない時代になったのです。

つまり、利用者の「実力」を高める支援内容を持つ事業所こそが、今後の指定・継続運営で評価される。すべてを自前でやり、その結果、プログラムの質が低くなるのは本末転倒です。

自前主義の限界

B型事業所の支援員は、福祉の専門家です。しかし同時に、会計、労務、IT、広報のプロではありません。これらの領域をすべて社内で賄おうとすると、支援員の時間が割かれ、利用者さんへの支援品質が落ちます。

「うちで全部やる」という判断は、自立心や経営哲学ではなく、コスト意識の欠落である場合が多いです。支援員が月額33,000円のカリキュラムを自作することに費やす時間と、そのカリキュラムの完成度。その比較をしてみる価値があります。

B型事業所で外部委託できる業務の範囲

カリキュラム・プログラム分野

利用者さんの学習活動に直結するカリキュラムです。動画編集、デザイン、事務作業、清掃業務など、事業所内で提供する訓練プログラムです。

映像制作工房LACのように、学習管理システムと専門サポートがセットになったサービスを導入することで、支援員はカリキュラムの設計や運用に割く時間を削減できます。あるいは利用者の進捗管理と、つまずいた利用者さんへの個別支援に時間を集中させることができます。

LACの場合、導入翌日からカリキュラムが回り始める設計であれば、事業所の職員がITや動画編集に詳しくなくても運用可能です。3層構造のサポート体制により、利用者の質問にはbotが約56%を平均11秒で即時対応し、複雑な内容はサポーターが中央値7.5分で対応、特殊なケースは運営がエスカレーション対応(全体の6.7%)します。つまり、事業所の職員が学習サポートに対応する場面がない設計です。

会計・労務分野

給与計算、勤怠管理、決算、税務申告。これらは法的要件が厳しく、ミスが直結するリスクです。

経理担当者を配置できない事業所では、税理士や社会保険労務士に月次の処理を委託することが一般的です。支援員が片手間に対応するより、プロに委託した方が安心です。

IT・システム分野

学習管理システムの導入、ホームページの制作・維持管理、セキュリティ対応。これらはIT企業に委託します。

特にセキュリティは、外部からの攻撃に対応するため、常時の監視と最新の対策が必要です。事業所の規模では内製化できません。

広報・集客分野

ホームページ制作、ブログ運用、SNS発信、パンフレット制作、利用者募集のための広告運用。

相談支援専門員に事業所を認知してもらい、利用者を紹介してもらうための活動です。広報の専門家に委託することで、事業所の強みが正確に伝わる表現が実現します。

外部委託のメリットとデメリット

メリット

支援員の時間が確保され、利用者さまへの個別対応や相談面談に充てることができます。プロの品質が保証され、法令順守や最新の技術動向が反映されます。事業所が専門外の領域でのリスク(税務申告漏れ、セキュリティ侵害など)を回避できます。

デメリット

外部委託にはコストが発生します。委託先とのコミュニケーションが増え、指示の受け渡しに手間が生じます。完全な内製化では得られない「ノウハウの蓄積」が事業所内に残らない場合があります。

コストの考え方 — 支援員の時間単価で判断する

映像制作工房LACの月額は33,000円(税込)です。これを「高い」と感じるか「安い」と感じるか。支援員の時間単価で判断します。

支援員の年間給与が400万円の場合、月額は約33万円。週5日勤務で月20日働く想定なら、時給は約3,300円です。カリキュラム開発に週5時間割く場合、月額では約6.6万円の人件費です。33,000円の外部委託で、品質高いカリキュラムが得られ、6.6万円の人件費が浮く。コストは利益になります。

この判断フレームは、会計・IT・広報など他の分野でも同様です。「いくら払うか」ではなく「いくらの人件費が浮くか」で考えると、委託の判断が明確になります。さらに、業務改善助成金やキャリアアップ助成金といった厚労省と中小企業庁が連携して支援策紹介マニュアルを作成している補助金を活用することで、導入時の負担をさらに軽減できます。

外部委託先を選ぶ際のチェックポイント

1. 実績と事例がある

B型事業所での実績があるか、導入事例が具体的に説明できるか確認します。映像制作工房LACの実績としては、登録ユーザー数が約300名、解約累計1社のみという継続率、Silver(次段階)到達率が28.8%、到達の中央値が2.2ヶ月という具体的なデータが開示されています。実績なしの委託は避けます。

2. サポート体制が整っている

導入後、わからないことが出てきた場合の相談窓口があるか。映像制作工房LACは3層構造のサポート体制を用意しており、botが約56%の問い合わせに平均11秒で即時対応し、サポーターが複雑な内容に中央値7.5分で対応、エスカレーション対応は全体の6.7%にとどまります。つまり、事業所の職員が学習サポートに対応する場面がない設計です。委託先がどこまでサポートするか事前に確認します。

3. 契約条件が明確

月額費用、契約期間、途中解約の条件、サポート内容。不明な点は事前に質問して、書面で確認します。

4. 事業所の利用者層に合致している

委託先のサービスが、事業所の利用者さまのニーズと合致しているか。高度な技術スキルを必要とする場合、初級者向けカリキュラムは役に立ちません。事業所の利用者像を委託先に伝え、適合性を確認します。

委託後のPDCAの回し方

Plan(計画)

四半期ごとに、外部委託先と事業所の目標を確認します。「3ヶ月で何人の利用者さまがシルバー到達するか」など、具体的な成果指標を決めます。

Do(実行)

決めたカリキュラムを実行し、利用者さまの進捗を記録します。つまずいている利用者さまには、委託先のサポーターに相談します。

Check(確認)

月1回の定例会で、委託先と進捗状況を確認します。目標に対して達成状況がどうか、課題は何か。データを見ながら対話します。

Act(改善)

四半期ごとに、改善点を委託先と相談し、次の期間の施策を調整します。「この利用者層にはこの内容が必要」という気づきは、委託先のノウハウと事業所の知見が合致した場面です。

補助金を活用し、採算モデルを改善する

業務改善助成金やキャリアアップ助成金など、外部委託による業務改善を支援する補助金制度があります。厚生労働省と中小企業庁が連携して支援策紹介マニュアルを作成し、B型事業所でも対象となる助成金の活用を推奨しています。事業所の負担を減らしつつ、サービス導入を進める手段になります。

同時に、B型の報酬改定により、一般就労へ移行し6月以上定着した利用者さんの数に応じて加算(就労移行支援体制加算)が取得できる構造になっています。LACを通じて就職者が出るようになれば、この加算取得にもつながり、事業所の収益向上に直結します。さらに、就労定着支援では就労定着率に応じた報酬体系(9割5分以上で月額3,512単位)になっており、LACで送り出した人材の定着をサポートすることで、追加収益も見込めます。

導入前に、利用可能な補助金があるか確認することをお勧めします。

新時代のB型事業所経営

B型市場は19,572カ所という大規模市場に成長し、同時に質による淘汰が始まっています。「利用者の実力を高める支援内容」を持つ事業所が指定・継続運営で評価される時代に転換しました。

外部委託は「事業所の仕事を減らす」のではなく、「支援員の時間を利用者さんに集中させる」ための投資です。プロに委託した分野では、事業所が内製するより高い品質が保証されます。

同時に、障害者優先調達推進法に基づく調達実績が10年で2倍に増加し、235億円規模となったことからも明らかなように、スキルを習得した利用者の成果物を提供できる事業所の価値が高まっています。

支援員が福祉に専念し、利用者さんの就労基礎動作や個別のつまずきに対応する時間を確保する。プロの仕組みを活用して利用者の成長を加速させる。それが、事業所全体の支援の質につながり、やがて利用者の一般就職と事業所の経営基盤強化へとつながるのです。