ジョブコーチ(職場適応援助者)は、職場に出向いて、障害のある本人と会社の両方を支える支援者です。支援は標準で2〜4か月。最初は集中して支え、その後は上司や同僚に支え方を引き継いで離れていきます。JEEDの地域障害者職業センターでは、2024年度に2,638人を支援し、職場定着率は89.9%でした。
ジョブコーチは本人と会社の両方を支える
JEEDによると、ジョブコーチの支援の対象は、職場での支援が必要な障害のある人です。これから就職する人も、すでに働いている人も含まれます。支援の中身は相手ごとに分かれています。
- 本人へ 作業の能率を上げる・ミスを減らすなど仕事に慣れるための支援と、人間関係や職場でのコミュニケーションを良くするための支援
- 会社へ 障害を理解して配慮するための助言、仕事の内容や教え方を改善する助言と提案、必要に応じて職務の組み直しや職場環境の改善の提案
- 家族へ 本人の職業生活を支えるための助言
ジョブコーチには3つの型がある
厚生労働省の説明では、ジョブコーチは所属先によって3つに分かれます。
- 配置型 地域障害者職業センターに所属。就職などの難しさが高い人を重点的に支援し、ほかの型と組むときは助言や援助も行う
- 訪問型 就労支援を行う社会福祉法人などに雇われ、職場を訪問して支援する。JEEDの訪問型職場適応援助者助成金は、支援を提供する法人に支給される
- 企業在籍型 障害のある人を雇う企業に雇われ、自社の社員を支援する。企業在籍型職場適応援助者助成金は、その事業主に支給される
動画で紹介した2,638人は、このうち地域障害者職業センターが行った支援の人数です。
支援の流れは集中から移行へ
JEEDによると、支援の期間は標準で2〜4か月で、1〜8か月の範囲で人ごとに決めます。流れは次のとおりです。
- 障害者職業カウンセラーが本人と事業主から相談を受け、双方の同意を得て支援計画を立てる
- 計画にもとづいてジョブコーチが職場に出向く
- 集中支援期 職場での課題を改善するために集中して支える
- 移行支援期 支え方を事業所の担当者に伝え、支援の主体を少しずつ職場へ移す
- フォローアップ 支援が終わったあとも、必要に応じて様子を確かめる
目指すのは、ジョブコーチがいなくても上司や同僚が自然に支えられる状態です。JEEDの業務実績評価書では、これを「ナチュラルサポート体制」と呼んでいます。
定着率89.9%の読み方
厚生労働省が公表したJEEDの令和6年度業務実績評価書(案)の別紙によると、地域障害者職業センターのジョブコーチ支援の対象者は2,638人(前年度は2,665人)、職場定着率は89.9%でした。障害別の内訳は次のとおりです。
- 発達障害 1,060人(定着率91.2%)
- 精神障害 734人(85.6%)
- 知的障害 600人(91.3%)
- 高次脳機能障害 121人(94.1%)
- 身体障害 110人(91.3%)
この表には、定着率を支援が終わって何か月後に測ったかは書かれていません。同じ評価書は、精神障害・発達障害・高次脳機能障害の人について「支援終了6か月後の職場定着率85%以上」を目標に置いています。また、支援を受けなかった人と比べた数字ではないため、89.9%をジョブコーチの効果だけと読むことはできません。
支援の現場で使えること
ジョブコーチは、就職が決まった人にも、働き始めてつまずいている人にも頼めます。窓口は地域障害者職業センターです。支援計画は本人と事業主の両方の同意が前提なので、相談の前に「本人が困っていること」と「職場が困っていること」を分けて書き出しておくと話が早く進みます。移行支援期に入る前に、職場で誰が支え方を引き継ぐかを決めておきます。
企業の担当者へ
ジョブコーチは仕事を代わりにする人ではなく、教え方や仕事の切り出し方を一緒に組み立てる人です。引き継ぎ先になる直属の上司や近くの席の同僚を、最初から支援の場に入れておくと移行が進めやすくなります。自社で支える体制をつくりたい場合は、企業在籍型ジョブコーチの養成研修と助成金があります。
今日のポイント
ジョブコーチは、職場が自分で支えられるようになるまでの期間に入る支援です。引き継ぐ相手を最初に決めておくと、支援が終わったあとも支え方が職場に残ります。
提供 LAC(ラック)
LAC(ラック)は、映像制作を通じて「できること」を増やし、「働く力」を育てる、就労継続支援事業所向けの学習プログラムです。
学習管理システムで一人ひとりの進み具合を見える化し、専門のサポーターがチャットで質問に答えます。事業所に動画編集の専門家がいなくても始められます。
出典(確認日 2026年10月10日)
- 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援 jeed.go.jp
- 厚生労働省 職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業について mhlw.go.jp
- 厚生労働省 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 令和6年度業務実績評価書(案) 別紙 mhlw.go.jp(PDF)
この記事の案内役 結城ユイは、制度と実務の解説の案内役(架空のキャラクター)です。監修:合同会社RP 代表 ミネストローネ