あの人がいなくなったら誰が教えるのかという属人化の懸念
事業所にパソコンやITに詳しい職員がいて、その方を中心にプログラムが運用されている。利用者さまの質問にもその方が答え、他の職員は「自分にはわからないから」と任せきりになっている。こうした光景は少なくありません。
この状態が続いているうちは問題が表面化しませんが、その職員が異動や退職をした途端、プログラムは停止します。引き継ぎをしようにも他の職員にはノウハウがなく、利用者さまの質問にも答えられない。結局、「あのプログラムはやめよう」という結論に至ってしまいます。
多くの支援者様は、こうした属人化のリスクを経験則から理解しています。だからこそ、新しい仕組みの導入をためらうのです。「また特定の職員に負担が集中するのではないか」「その人がいなくなったら同じことの繰り返しではないか」。
映像制作工房LACは、この属人化の問題を設計段階から完全に排除しています。
映像制作工房LACとは
映像制作工房LACは、就労継続支援事業所様向けに動画編集の学習カリキュラムを提供するサービスです。自社開発の学習管理システム(LMS)上で利用者さまが動画講座の視聴や課題提出を進め、専門サポーターがDiscordを通じて質問や相談に直接対応します。
ただし、私たちの目的は「動画編集のプロ」を育てることではありません。映像制作スキルの習得過程を通じて就労基礎動作を身につけ、就職につなげることが本来の狙いです。就職を目指さない方であっても、事業所内で安定して活動できる人材になることを目指しています。
就労基礎動作とは、映像制作工房LACが定義する「働ける人」になるための5つの力です。自己管理、指示や指摘を受け取る力、報告・相談・質問する力、やり切る力、そして場面に応じた振る舞いを選択する力。これらは映像制作に限らず、あらゆる職場で求められる基本的な行動パターンです。
IT指導は事業所の外で完結する仕組み
映像制作工房LACの仕組みでは、動画編集の技術的な質問はすべて事業所の外で解決されます。利用者さまが不明点に直面すれば、Discordで専門サポーターに直接質問を投げ、よくある疑問はWikiで自ら調べることができます。
問い合わせの一次対応はbotが担い、約56%をその場で解決します。残りはサポーターが引き継ぎ、中央値7.5分で回答が届きます。事業所の職員が技術的な回答に追われる場面はありません。
これは、事業所の職員がITや動画編集に詳しくなくてもプログラムが正常に稼働することを意味します。詳しい職員がいる場合でもその方に負荷が偏ることはなく、万が一その方が離職しても、カリキュラムは何事もなかったかのように継続されます。
支援員本来の役割に集中できる環境
技術指導から解放されることで、支援者様の役割は「本来やるべき支援に注力する」ことへとシフトします。
利用者さまとの関係構築、生活面の相談対応、個別支援計画の策定、保護者との連携、就職に向けた面談。これらは事業所の職員にしかできない、代替不可能な仕事です。操作方法の解説に奪われていた時間を、こうした本質的な支援に充てることが可能になります。
LMSには各利用者さまの進捗データが蓄積されています。支援者様はこの数値を面談の材料として活用できます。「今月は自分で調べて質問する段階に進みましたね」「先月より取り組み時間が増えていますね」。技術を教える必要はなくても、成長を正確に把握し、適切な声かけを行う。これが、映像制作工房LACが想定する支援者様の役割です。
データに基づいた客観的な支援への転換
従来のプログラムでは、利用者さまの状態を把握するために職員個人の観察力に頼る部分が大きかったはずです。「最近元気がない」「集中力が落ちている気がする」。こうした感覚は非常に大切ですが、感覚のみでは正確な引き継ぎは困難です。
映像制作工房LACのシステムには、課題の完了状況、学習時間の推移、質問の内容が全て記録されています。担当者が変わっても、データは不変です。「先月まで週4時間ペースだったが、今月に入り急減している」という事実は、後任者にも即座に共有されます。
支援が客観的なデータに基づけば、属人化のリスクは劇的に下がります。利用者さまとの信頼関係は人にしか築けませんが、その土台となる状況把握にデータがあることで、担当変更による支援の質の低下を防ぐことができます。
特定の人に依存しない支援体制の設計
映像制作工房LACが提供しているのは、単なる教材やサポーターの配置ではありません。LMS、カリキュラム、進捗データの蓄積といった要素が一体となった「仕組み」そのものです。
仕組みの利点は、特定の人間に依存しない堅牢さにあります。カリキュラムはシステム内に構造化されているため、誰かの記憶に頼る必要はありません。サポーターはチーム体制で稼働しており、一人が欠けてもサービスレベルは維持されます。
事業所側も同様です。職員が入れ替わっても、利用者さまの学習が止まることはありません。新しく赴任した職員は、画面上のデータを見るだけで利用者さまの現在地を把握できます。引き継ぎコストを最小限に抑えられる設計です。
教える役割から見守る役割へのシフト
支援者様の本来の仕事は、利用者さまに技術を叩き込むことではありません。自らの力で成長していく過程を見守り、適切なタイミングで支えになることです。つまずきを早期に発見し、再び立ち上がるための手助けをすることです。
映像制作工房LACは、技術指導をサービス内に内包することで、支援者様を「教える苦労」から解放します。その結果、支援者様は「見守るプロ」として、利用者さま一人ひとりの変化に目を配り、本来の支援に力を注ぐことができるようになります。
これこそが、映像制作工房LACが事業所に提供する最大の価値のひとつです。