通所できない日が続くとき
利用者さまから朝一番に連絡が入る。「今日は体調が悪いので通所できません」。支援者様にとって珍しくない場面だと思います。体調の波がある方、精神面の不調で外出が難しい日がある方は少なくありません。
通所できない日が続くと、学習の空白が生まれます。前回やったことを忘れてしまう。再開するときにエネルギーが要る。空白が長くなるほど「もう戻れないかもしれない」という不安が膨らんでいく。映像制作工房LACのLMSは自宅からでもアクセスできるため、体調が許す範囲で学習を続けることは仕組み上可能です。
在宅の支援は通所より難しい
在宅で学習できる環境があることと、在宅で「支援ができている」ことは別の話です。通所していれば、支援者様は利用者さまの表情、声のトーン、動作の変化から体調や精神面の変化を感じ取れます。在宅では、それができません。
実際に、自治体の通知でも在宅就労支援の要件が厳格化される動きが出ています。在宅支援を行うなら、その支援効果を具体的に示す必要があるという方向です。「自宅で作業ができている」だけでは不十分で、就労に必要な能力の向上に向けた支援が行われ、その効果が確認できることが求められています。
映像制作工房LACは在宅での学習や働き方を否定していません。LACのサポーター自身が在宅で働いていますし、テキストベースのコミュニケーションだからこそ力を発揮できる方がいることも知っています。ただ、支援という文脈では、目の前にいない分だけ難しさが増すことは事実です。
映像制作工房LACとは
映像制作工房LACは、就労継続支援B型事業所様向けに動画編集の学習カリキュラムを提供するサービスです。利用者さまはLMS上で講座視聴と課題提出を進め、技術的な質問にはDiscord上でbot・サポーター・エスカレーションの3段構造で対応しています。事業所様の支援者様が技術面を教える必要はありません。
LACの目的は「動画編集ができる人」を育てることではなく、映像制作の習得過程を通じて就労基礎動作(自己管理、指示・指摘を受け取る力、報告・相談・質問する力、やり切る力、振る舞いを選択する力)を身につけ、就職につなげることにあります。
データで見えない部分を補う
支援の主役は支援者様です。利用者さまの変化に気づき、声をかけ、目標を一緒に考えるのは、データではなく人の仕事です。ただ、在宅の利用者さまに対しては、対面で得られる情報が少ない分、データが支援者様の判断を補う材料になります。
LACでは利用者さまのスキルを6軸(作業速度、正確性、理解力、質問力、修正対応力、安定性)で評価し、0.1刻みで0.5から5.0までスコアリングしています。加えて、日々のコンディション(体調、メンタル、疲労度)も記録しています。これらのデータを、支援者様がどう読み、支援にどうつなげるか。その考え方をいくつかご紹介します。

コンディションデータの読み方
たとえば、ある利用者さまの疲労度スコアが通所日に4.5以上を記録している場合、通所すること自体が大きな負荷になっている可能性があります。一方で、在宅日の疲労度が安定していて、学習の進捗も維持されているなら、「この方にとっては在宅のほうが学習に集中できる環境なのかもしれない」という判断材料になります。
逆に、在宅日にメンタルスコアが1.0まで落ち込んでいるケースでは、自宅にいること自体が孤立感につながっている可能性も考えられます。在宅が合っているかどうかは利用者さまごとに異なりますし、時期によっても変わります。大切なのは、支援者様がその変化に気づけるデータが手元にあるかどうかです。
稼働パターンの変化に注目する
もうひとつ、在宅利用者さまの支援で見ておきたいのが稼働パターンの変化です。LMSへのログイン日数が月に9日あった利用者さまが、翌月に2日に急減している。こうした変化は通所であれば「来なくなった」ことで明らかですが、在宅では見落としがちです。
稼働日数の急減は、体調の変化かもしれませんし、学習内容につまずいているサインかもしれません。あるいは生活環境の変化が影響している可能性もあります。データだけで原因はわかりません。ただ、「変化が起きている」という事実を支援者様が把握できれば、声をかけるタイミングを逃しにくくなります。
6軸評価で成長を追う
在宅利用者さまの支援効果をどう示すか。この問いに対しては、6軸評価の月次推移が一つの手がかりになります。たとえば、在宅で学習を続けている利用者さまの修正対応力が、3ヶ月でC+(1.5)からB+(3.0)に伸びていれば、在宅環境でも就労基礎動作のうち「やり切る力」が育っていると読むことができます。
こうしたデータは、利用者さまの成長を支援者様が確認するためだけでなく、在宅での支援が実際に効果を生んでいることを外部に示す根拠にもなり得ます。制度上、在宅支援の効果を立証する必要性は高まっています。「何となくうまくいっている」ではなく、「この軸がこう伸びている」と言えることが、事業所様にとっても大切になっていきます。
支援者様と一緒に考えたいこと
LACが提供できるのはデータと仕組みです。そのデータをどう読み、目の前の利用者さまにどう関わるかは、支援者様にしかできない仕事です。
在宅の利用者さまに対して、コンディションスコアのどの変化に注目するか。稼働パターンが変わったときに何を聞くか。6軸評価のどの軸を次の目標にするか。こうした問いに正解はありません。利用者さまの状況は一人ひとり違いますし、同じ方でも時期によって変わります。
だからこそ、データの読み方や活かし方を支援者様と一緒に考えていきたいと思っています。在宅だから支援が薄くなるのではなく、在宅だからこそデータを使って支援の粒度を高める。その取り組みを、事業所様と一緒に進められれば幸いです。