障害者の法定雇用率に届かない企業は、足りない1人につき月5万円の納付金を納めます。反対に雇用率を超えて雇う企業には、超えた1人につき月29,000円の調整金が支給されます。2024年度の実績分からは、超えた人数が多い企業では多い部分が月23,000円に下がり、たくさん雇うほど1人あたりの額が減るしくみになりました。
納付金制度のしくみ
JEEDによると、障害のある人を雇うには、作業施設や設備の改善、職場環境の整備、特別な雇用管理などで費用がかかることが多く、雇用の義務を果たしている企業とそうでない企業のあいだで負担に差が出ます。障害者雇用納付金制度は、障害のある人の雇用は企業が共同で果たす責任だという考え方に立ち、この負担の差を企業のあいだで調整する制度です。根拠は障害者雇用促進法で、JEEDが運営しています。
集めた納付金は、調整金や報奨金、障害のある人を雇うための各種の助成金の財源になります。
金額の一覧
- 納付金 常用労働者が100人を超え、法定雇用障害者数に足りない企業が納める。不足1人につき月50,000円
- 調整金 常用労働者が100人を超え、法定雇用障害者数を超えて雇う企業に支給。超えた1人につき月29,000円。支給対象が年120人月を超える部分は月23,000円
- 報奨金 常用労働者が100人以下で、障害のある人を一定数より多く雇う企業に支給。超えた1人につき月21,000円。年420人月を超える部分は月16,000円
2024年度実績分からの減額
厚生労働省の障害者雇用分科会の資料(2023年6月)によると、調整金は支給対象が月10人(年120人月)を超える部分を6,000円下げて23,000円に、報奨金は月35人(年420人月)を超える部分を5,000円下げて16,000円にしました。2024年度の実績にもとづいて2025年度に支給する分から反映されています。
資料は理由として、障害のある人の雇用にかかる費用は雇う人数が増えるほど下がる傾向があることを挙げ、減らした分の財源で助成金を充実させ、企業への支援を強めるとしています。
計算例です。毎月15人ずつ超えて雇う企業は、1年で180人月になります。120人月までは29,000円、残り60人月は23,000円なので、調整金は年486万円です。全員29,000円だった場合の522万円より36万円少なくなります。
申告の手続き
JEEDの令和8年度版の案内によると、申告が必要なのは、前の年度の各月の常用労働者の総数(短時間労働者は1人0.5人)が100人を超える月が5か月以上ある企業です。雇用率を達成していて納付額が0円の企業も申告します。
- 納付金の申告と納付、調整金の申請 4月1日〜5月15日(令和8年度の場合)
- 報奨金の申請 4月1日〜7月31日
- 納付金が100万円以上のときは3回に分けて納められる
- 期限を過ぎた調整金などの申請には支給されない
民間企業の法定雇用率は2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%です。率が上がると、同じ人数の会社でも法定雇用障害者数が増えます。
支援の現場で使えること
企業の担当者と話すとき、納付金と調整金のしくみを知っていると、雇用率の話がかみ合いやすくなります。支援の現場で使う職場適応援助者(ジョブコーチ)の助成金なども、この納付金制度の助成金の一つです。企業に助成金の存在を伝え、JEEDの窓口につなぐことも支援の一部になります。
企業の担当者へ
納付金を納めても、雇用率の数字が上がるわけではありません。2026年7月の引き上げで不足が出そうな場合は、月ごとの雇用者数で計算し直しておきます。調整金は多く雇うほど1人あたりが下がりますが、資料の説明では、その財源は職場環境の整備や介助者の配置などの助成金に回ります。人数だけでなく、雇ったあとの定着に助成金を使う考え方です。
今日のポイント
雇用率に足りない企業は不足1人につき月5万円を納め、超えた企業には月29,000円が支給されます。2024年度の実績分からは、多く超えた部分が月23,000円になり、その財源は助成金の充実に回ります。
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出典(確認日 2026年10月10日)
- 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 障害者雇用納付金制度の概要 jeed.go.jp
- JEED 令和8年度版 障害者雇用納付金制度 ご案内 jeed.go.jp(PDF)
- 厚生労働省 労働政策審議会 障害者雇用分科会 第129回 資料1-2(2023年6月12日) mhlw.go.jp(PDF)
この記事の案内役 結城ユイは、制度と実務の解説の案内役(架空のキャラクター)です。監修:合同会社RP 代表 ミネストローネ