職場での障害者差別や合理的配慮について、ハローワークに寄せられた相談は2025年度に631件で、前の年度より44.1%増えました。厚生労働省のまとめでは、そのうち509件が合理的配慮の相談で、内容で最も多かったのは上司や同僚の障害への理解に関することでした。相談がどう扱われ、話し合いで解決しないときにどんな手続きがあるのかを整理します。

相談の件数と中身

厚生労働省「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和7年度)」(2026年6月19日公表)によると、2025年度にハローワークに寄せられた相談は631件でした。内訳は合理的配慮の提供に関する相談が509件、障害者差別に関する相談が122件です。

過去5年度の合計は、2021年度244件、2022年度225件、2023年度245件、2024年度438件、2025年度631件と、ここ2年で大きく増えています。相談した人は障害のある本人が573件、事業主が44件、家族などが14件でした。

合理的配慮の相談の内容は次のとおりです(1件で複数に当たるものがあるため、合計は100%になりません)。

差別の相談では「募集・採用時」が16.7%で最も多く、「退職の勧奨」15.2%、「解雇」13.0%が続きます。

相談のあとどうなったか

相談のあとの状況は「相談のみで終了」が49.0%(続いている相談を含む)、「ハローワークが確認したうえで助言などをした(法違反は確認されず)」が42.9%でした。法違反を確かめてハローワークが助言した件数は4件、指導は0件です。都道府県労働局による勧告は、2021年度から2025年度まで0件が続いています。

話し合いで解決しないときの手続き

障害者雇用促進法では、会社と本人の話し合いで解決しない場合に、2つの手続きが用意されています。

調停は、募集や採用をめぐる紛争は対象外です(法第74条の7)。援助や調停を求めたことを理由に、会社が解雇などの不利益な扱いをすることは禁じられています。

合理的配慮の決まりごと

差別の禁止と合理的配慮の提供は2016年4月に施行され、すべての事業主が対象です。対象になる障害者は障害者手帳を持つ人に限られません。厚生労働省の合理的配慮指針では、手続きを次のように定めています。

会社にとって「過重な負担」になる場合は提供の義務を負いません。その判断は、事業への影響・実現の難しさ・費用・会社の規模・財務状況・公的支援の有無を合わせて個別に行い、過重な負担と判断したときもその理由を本人に説明し、負担にならない範囲の措置をとることになっています。

支援の現場で使えること

指針では、本人の意向を確かめるのが難しい場合に、就労支援機関の職員などに本人の補佐を頼んでもよいとしています。支援者が面談に同席し、困りごとを具体的な場面と配慮の案に言い換えて伝えると、話し合いが進みやすくなります。会社の中で話がまとまらないときは、ハローワークへの相談、労働局長の援助、調停という順の窓口があることを本人に伝えておけます。

企業の担当者へ

相談で最も多いのは上司や同僚の理解に関することです。指針の具体例には、本人のプライバシーに配慮したうえで、ほかの社員に障害の内容や必要な配慮を説明することが挙げられています。会社には相談に応じる体制を整え、相談したことを理由に不利益に扱わないと定めて社員に知らせることも求められています。配慮の内容を決めたら、理由とあわせて本人に説明しておくと、後の行き違いを減らせます。

今日のポイント

2025年度の相談は631件で、合理的配慮の相談が8割を占めました。多いのは上司や同僚の理解に関する相談で、勧告は5年続けて0件です。

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出典(確認日 2026年10月10日)

この記事の案内役 結城ユイは、制度と実務の解説の案内役(架空のキャラクター)です。監修:合同会社RP 代表 ミネストローネ