障害者の雇用率には「除外率」というしくみがあります。障害のある人が働くのが一般的に難しいとされた業種では、働く人の一定の割合を差し引いて、雇うべき障害者の数を計算できます。この制度は2004年4月に廃止され、いまは経過措置として率が残っているだけで、2025年4月にも一律に10ポイント下がりました。しくみと影響を厚生労働省の資料で整理します。
除外率のしくみ
厚生労働省「除外率制度について」によると、障害者雇用促進法は法定雇用率を定める一方で、一律の雇用率をあてはめるのになじまない職務もあるとして、障害者の就業が一般的に難しいと認められる業種に除外率を設けていました。率は、その業種の中でそうした職務が占める割合に応じて決められていました。
除外率がある業種の会社は、雇うべき障害者の数を計算するとき、常用労働者の数から除外率に当たる人数を差し引けます。そのぶん雇用義務が軽くなります。
廃止と段階的な引き下げ
除外率制度は、ノーマライゼーションの観点から2002年(平成14年)の法改正で廃止が決まり、2004年4月に廃止されました。ただし法律の附則による経過措置として、当分の間は業種ごとの率を残し、廃止に向けて段階的に引き下げることになっています。
引き下げは2004年4月、2010年7月、2025年4月の3回で、いずれも一律10ポイントです。2025年4月以降の主な率は次のとおりです。
- 非鉄金属第一次製錬・精製業、貨物運送取扱業 15%→5%
- 建設業、鉄鋼業、道路貨物運送業、郵便業 20%→10%
- 鉄道業、医療業、高等教育機関、介護老人保健施設、介護医療院 30%→20%
- 道路旅客運送業、小学校 55%→45%
- 船員等による船舶運航等の事業 80%→70%(最も高い)
もとの率が5%だった倉庫業や航空運輸業など、10%だった採石業や水運業などは、2025年4月から除外率の適用がなくなりました。
引き下げでどれだけ変わるか
厚生労働省の集計結果には計算の例が載っています。常用労働者が5,069.5人の会社で除外率が20%なら、差し引く人数は1,013人、雇用義務は101人です。除外率が10%になると、差し引く人数は506人に減り、雇用義務は114人に増えます。率が10ポイント下がるだけで、この例では13人分の義務が増えます。
同じ集計結果では、2025年に企業規模別の実雇用率や達成企業の割合が一部で下がり、「除外率が10ポイント下がっていることの影響による低下を含む」と注記されています。2025年6月1日時点で、建設業の実雇用率は2.00%、法定雇用率を達成した企業は43.5%でした。
国と自治体の除外率
国や地方公共団体には、警察官や自衛官など、強制力の行使などが必要な職員を数から除く「除外職員」の制度があります。2004年4月から範囲をこうした職員に絞り、外れた職員が多い機関(教育委員会など)には、当分の間、除外率を設けています。この除外率は2010年7月と2025年4月に10ポイントずつ下がりました。
支援の現場で使えること
医療業や介護老人保健施設、建設業や道路貨物運送業などは、除外率の引き下げで雇うべき障害者の数が増えた業種です。職場開拓で会社を訪ねるときは、その業種の率がいくつからいくつに下がったかを知っておくと、会社が抱える不足数の話と結びつけて提案しやすくなります。
企業の担当者へ
除外率は廃止に向けて下がり続ける経過措置です。自社の業種に率があるか、2025年4月以降いくつになったかを確かめ、雇用義務の人数を計算し直しておきます。民間企業の法定雇用率も2026年7月から2.7%に上がっているため、2つの変化を合わせて見ておく必要があります。
今日のポイント
除外率は2004年に廃止された制度の名残で、2025年4月に一律10ポイント下がりました。建設業は20%から10%になり、もとが10%以下の業種は適用がなくなりました。
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出典(確認日 2026年10月10日)
- 厚生労働省 除外率制度について mhlw.go.jp
- 厚生労働省 令和7年 障害者雇用状況の集計結果(2025年12月19日公表) mhlw.go.jp
- 厚生労働省 公務部門における障害者雇用に関する制度 mhlw.go.jp
- 福井労働局 除外率制度について(国及び地方公共団体における除外率制度) jsite.mhlw.go.jp(PDF)
- 茨城労働局 国・地方公共団体・独立行政法人のみなさまへ 障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について jsite.mhlw.go.jp(PDF)
この記事の案内役 結城ユイは、制度と実務の解説の案内役(架空のキャラクター)です。監修:合同会社RP 代表 ミネストローネ